慶次を読む 名場面集
聚楽第にて秀吉に謁見す
慶次との対面を心待ちにし、ついにその日を迎えることとなった豊臣秀吉であったが、聚楽第の謁見の間に現れたのは髷を横に結い上げ、髑髏の紋所に虎皮の裃姿の慶次だった。秀吉に平伏しながらも頭をけっして下げようとせずそっぽを向く慶次に、大広間に居並んだ大名の面々は度肝を抜かれる。秀吉を殺す決意を胸に秘めた慶次は、やがて秀吉との間合いをつめるために決死の猿舞を踊り、その殺意を読み取った秀吉との間でギリギリの心理戦を繰り広げる。二人の英雄が命を賭した「花の慶次」屈指の名シーンには誰もが手に汗を握るはず。
河原田城一騎駆け
河原田城を落とすべく佐渡攻めを開始した上杉軍。親交の深い直江兼続との友誼により、西洋の甲冑を身にまとい颯爽と戦場に現れた慶次は、囚人と百姓で構成された小隊を引き連れ、いくさ人の心意気をあらわした"髑髏"に"蓮の花"をあしらった馬印とともに敵陣深くへと果敢に斬り込んだ。その猛烈ないくさぶりは、上杉軍を勝利に導くとともに、働きを目の当たりにした兼続をして「まさしくあの男は天に愛されておる!!」と言わしめた「花の慶次」を語るうえで避けて通ることの出来ない漫画史上に爪跡を残した不朽のいくさシーン。
百万石の酒
山間の露天風呂で慶次、直江兼続、奥村助右衛門、真田幸村、伊達政宗、後藤又兵衛のそうそうたる顔ぶれが酒を酌み交わしながら「天下」の談義をしていたところに突如現れた豊臣秀吉。百万石(現在に換算すると約二五〇〇億円)で家来になれと秀吉にもちかけられた慶次は「そんなことより一献くれまいか?」と秀吉に切り返し、即座にその誘いを断ってしまう。豊かさや高い地位を得てもそれに縛られて窮屈になることを嫌った慶次の自由を愛する価値観や精神が垣間見れる、男ならずとも何度も読み返したくなる痛快かつ心から痺れる名場面。
花の慶次とは
登場人物
年表
名セリフ集
名場面集

(C)隆慶一郎・原哲夫・麻生未央/NSP 1990, 株式会社コアミックス